広島市民病院

文字サイズ

  • 小
  • 中
  • 大
TEL:082-221-2291 FAX:082-223-5514

令和2年度 広島市立広島市民病院 病院指標

病院外観

【集計項目】

年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1,633 358 502 1,010 1,568 1,850 2,836 5,128 2,664 488
解説:
入院患者は、60歳未満の占める割合が38.4%、70歳以上の占める割合が45.9%と、徐々に高齢患者の比率が増える傾向にありますが、それでも高齢の患者に偏ることなく、各年齢層の患者がほぼまんべんなく入院しています。また、当院は総合周産期母子医療センターの指定を受けていることもあり、10歳未満の入院患者は全体の9.1%を占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科(血液内科を含む)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 436 2.24 2.66 0.23 67.20
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術処置2なし 定義副傷病名なし 212 8.30 9.53 4.25 72.17
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 144 7.40 8.11 0.00 71.41
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 92 8.32 7.74 5.43 62.18
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術処置2-1あり 89 13.47 14.60 4.49 64.57
解説:
胃癌・食道癌・大腸癌に対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、大腸ポリープに対するEMR(内視鏡的粘膜切除術)を数多く実施しており、質・安全性の高い内視鏡治療を施行しています。胆・膵領域では、閉塞性黄疸や急性胆管炎の緊急入院患者が多く、内視鏡的ステント留置術、結石除去術や胆道ドレナージ術を積極的に行っています。また、結腸憩室炎で緊急入院となる患者も増加しており、適切な初期対応を行っています。2型糖尿病では、術前の血糖コントロール目的での入院が増えています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 86 18.50 19.04 3.49 69.06
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術処置1なし 定義副傷病名なし 77 13.65 16.19 1.30 72.21
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 77 5.57 5.44 0.00 38.71
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 72 6.44 6.41 0.00 59.53
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術処置1なし 手術処置2なし 定義副傷病名なし 67 6.66 7.23 1.49 62.37
解説:
診断群分類別では胃、結腸の悪性腫瘍が多く、いずれも地域の中核病院としてエビデンス(科学的根拠)に基づいた標準治療を行うとともに、全国規模の臨床試験にも参加してエビデンスを作る立場としての自覚を持って診療にあたっています。合同カンファレンスを行い各診療科とも良好な関係のもと、増加の一途をたどる高齢者、心疾患など他疾患合併患者に対しても安全に手術が行えるよう十分な配慮をしています。消化器癌に対する手術を幅広く多数行う中で、胆のう炎、胆石症に対する腹腔鏡手術や虫垂炎に対する腹腔鏡手術も、緊急あるいは準緊急手術として積極的に受け入れています。
乳腺外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術処置1なし 247 7.63 10.30 0.00 60.70
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 192 4.16 6.02 0.00 59.51
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり 34 2.12 4.13 0.00 51.24
090010xx99x0xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術処置2なし 33 9.67 9.58 30.30 63.27
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術処置2なし 22 4.64 6.20 4.55 57.00
解説:
乳腺外科では2名の乳腺専門医・指導医を中心として、5名の乳腺外科医がチーム一丸となって原発性乳癌556件を手術しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 230 21.39 23.36 5.65 75.22
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術処置2なし 67 13.97 16.10 8.96 73.28
160620xx02xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 関節滑膜切除術等 57 6.46 7.04 0.00 48.96
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 45 16.49 25.09 66.67 81.89
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 30 18.93 13.96 3.33 23.93
解説:
若年から高齢層まで幅広い年齢層の急性期疾患(外傷や骨折など)から慢性疾患(変性疾患など)まで、あらゆる疾患に対して基本に忠実に治療を施しています。保存療法と手術療法のメリットとデメリットを比較して考慮しつつ、最適な治療方法を選択し提供しています。近年では、人工関節(膝、股、肩)症例が増加しています。また若年者に見られるスポーツ障害の一つとして半月板損傷や靱帯損傷(十字靭帯)に対する治療も積極的に行っています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
140140xxxxxxxx 口蓋・口唇先天性疾患 97 11.95 9.33 0.00 6.00
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術処置2なし 55 4.15 3.07 0.00 74.84
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術処置1なし 28 14.25 10.30 0.00 52.07
090010xx04xxxx 乳房の悪性腫瘍 組織拡張器による再建手術(一連につき) 乳房(再建手術)の場合等 27 9.63 8.26 0.00 50.56
080180xx99xxxx 母斑、母斑症 手術なし 25 3.00 4.11 0.00 2.04
解説:
形成外科では、令和2年は1,605件の手術を施行しており、その中で入院手術は610件を施行しています。特に唇裂口蓋裂・小耳症を含む顔面先天異常、眼瞼下垂・内反症・眼瞼悪性腫瘍の再建などのまぶたの疾患、乳癌後の乳房再建に力を入れています。また血管腫、青あざなどのレーザー治療、熱傷治療、皮膚腫瘍、顔面骨骨折などの治療も多く手がけています。令和2年はコロナによる受診控えや手術制限があり、手術が例年に比べ2割減となっています。特に眼瞼下垂手術は4割減となり、それ以前は年間100件前後で推移していました。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術処置1あり 手術処置2なし 111 2.56 3.04 0.90 61.09
010030xx03x0xx 未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術 手術処置2なし 46 11.98 9.69 4.35 61.67
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術処置2なし 定義副傷病名なし 44 10.57 9.68 9.09 76.02
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術処置1なし 手術処置2なし 定義副傷病名なし 37 17.41 18.86 59.46 68.73
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術処置1なし 手術処置2-4あり 定義副傷病名なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 33 15.15 15.64 39.39 74.88
解説:
従来より脳血管疾患(脳卒中)を中心とした脳神経救急医療を担っており、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のいずれの病型も治療しています。上記のDPCデータからも、脳卒中の2/3を占めると言われる脳梗塞患者、および高血圧を中心とした脳内出血患者を多く治療していることが示されています。また、発症前の脳卒中未然状態である、未破裂脳動脈瘤、無症候性頸動脈狭窄なども積極的に発見しており、医療圏内からの紹介も多く、脳卒中治療ガイドラインに準拠した治療方針で予防的治療を外科的手技・脳血管内カテーテル手技を含めて実践しています。DPCデータで未破裂脳動脈瘤 手術なし、すなわち検査(脳血管撮影など)での入院件数が多いのはそのためです。こうして検査された患者を脳卒中治療ガイドライン、脳ドックのガイドラインなどに従って治療適応を判断し、積極的治療(開頭クリッピング術、動脈瘤コイル塞栓術)、経過観察など適切に治療選択を行い、対応しています。また、慢性硬膜下血腫の治療成績も良好です。
小児科(神経小児科、循環器小児科を含む)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術処置2なし 169 6.28 6.13 8.88 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術処置2なし 102 11.96 11.19 2.94 0.01
14029xxx97x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 その他の手術あり 手術処置2なし 51 5.69 6.12 0.00 20.78
14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術処置1あり 手術処置2なし 49 3.02 4.31 0.00 9.92
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術処置2-2あり 32 27.13 28.12 0.00 0.00
解説:
小児科(循環器小児科、神経小児科含む)は、スタッフ全員が日本小児科学会専門医であり、小児循環器専門医、小児神経専門医、てんかん専門医、アレルギー専門医、臨床遺伝専門医、新生児専門医などのサブスペシャリティ資格を有する医師も多くいます。専門外来を担い、専門的立場から入院の必要性を判断し、全スタッフが参加する週2回のカンファレンスでも、入院の妥当性を絶えず検討しています。
日本小児科学会専門医、かつ様々なサブスペシャリティ資格を有するスタッフらが、毎朝の病棟回診や週2回のカンファレンスを通じて、患者の病態を精確に把握し、有効かつ効率的な最善の診療を行うように努めています。スタッフの協議を通じて、絶えず診断・評価と治療の妥当性を検討しています。
当院は、小児科専門研修基幹施設であり、総合周産期母子医療センターです。広島市内・県内はもとより中国地区西部からも多数の患者が来院されます。一般小児内科医療を担う小児科のほか、循環器小児科、神経小児科、新生児科が専門的診療を行い、成人各科との連携のもと「成育医療」の観点から、胎児期から成人期までシームレスな医療を提供しています。特に循環器領域では、新生児の危急的心疾患の治療も可能で、心房中隔欠損などのカテーテル治療で全国トップクラスの実績を上げています。
循環器小児科は、広島県および西中国地方全域の先天性心疾患を中心に心筋炎・不整脈疾患患児の治療を行い、広島県の先天性心疾患のセンター的役割を果たしています。
新生児科は、総合周産期母子医療センターとしてすべての異常新生児に対応可能です。出生後の新生児も専用ドクターカーで迎え搬送を行っています。
産科・婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 221 6.50 6.10 0.00 43.97
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 161 8.15 9.45 0.00 34.46
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 157 6.27 6.16 0.00 43.04
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術処置2なし 118 3.00 3.11 0.00 41.10
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術処置2なし 92 10.86 11.96 0.00 58.63
解説:
婦人科は、良性疾患、悪性疾患ともに幅広く診療を行っています。腹腔鏡下手術の件数が年々増加しており、子宮筋腫、卵巣腫瘍の大部分は腹腔鏡下手術で行っています。初期の子宮体癌についても腹腔鏡下手術あるいはロボット支援下手術を行っています。
産科は、総合周産期母子医療センターとしてハイリスク症例を中心に診療を行っています。緊急帝王切開に迅速に対応できるよう手術室、麻酔科、新生児科とスムーズな連携を心がけています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術処置1なし 22 11.32 12.87 4.55 64.86
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術処置2なし 7.71
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術処置1なし 4.06
080110xxxxx0xx 水疱症 手術処置2なし 28.91
080005xx01x0xx 黒色腫 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術処置2なし 12.39
解説:
悪性黒色腫を含む悪性・良性腫瘍手術や救急科からの急性感染症の入院が増加しています。また、本統計からははずれますが、近年は皮膚良性腫瘍のみならず、皮膚悪性腫瘍の切除・摘出術もできるだけ外来・日帰り手術で行うようにしており、それぞれ数多く診療しています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術処置2なし 142 6.77 7.13 0.00 73.94
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 123 13.26 11.89 0.00 70.36
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術処置2-2あり 定義副傷病名なし 74 5.73 7.05 0.00 71.28
11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術処置2なし 46 10.98 11.03 0.00 63.80
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 手術処置2-2あり 定義副傷病名なし 44 21.30 9.96 0.00 70.77
解説:
前立腺癌患者数の増加に伴い、早期前立腺癌患者数も増加しています。当科では全症例においてロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘出術を施行し、より低侵襲な治療を提供しています。膀胱癌の治療については、経尿道的手術にて腫瘍を切除し、病理組織検査で悪性度、深達度を評価します。膀胱筋層までの浸潤はないものの、癌細胞の悪性度が高ければ、再度経尿道的手術を行います。筋層以上までの浸潤が認められた場合、膀胱全摘除術の適応となります。
耳鼻咽喉科(頭頸部外科を含む)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 76 5.82 7.20 0.00 53.79
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 74 4.97 6.71 0.00 55.78
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 72 7.67 7.52 0.00 43.97
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 69 7.09 7.94 0.00 14.33
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの)等 手術処置1なし 63 7.70 8.50 1.59 51.38
解説:
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・指導医資格を持った経験豊富な医師が5名在籍しており、高度な医療を心がけています。嚥下や音声のリハビリ、聴力検査等に従事する言語聴覚士も5名在籍し、ニーズに合わせたリハビリを行っています。広島市内だけでなく、山口、島根のクリニックからも患者さんのご紹介をいただき豊富な症例経験を有しています。とくに、中耳炎や難聴に対する手術治療は多く、人工内耳ときこえのセンターを開設して、補聴器もつかえない程の高度難聴に対する治療を多く手がけています。甲状腺腫瘍をふくめた頭頸部腫瘍では、定期的に近隣の医師と意見交換会を行うなど開かれた医療を目指しています。甲状腺腫瘍、副鼻腔炎(蓄膿症)、咽頭(のど)腫瘍には、積極的に内視鏡手術を行い身体に負担の少ない治療をめざしています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 290 2.14 2.76 0.00 75.07
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 34 7.38 8.97 0.00 51.56
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術処置1あり 手術処置2なし 16 5.25 6.49 0.00 62.94
020220xx97xxx0 緑内障 その他の手術あり 片眼 14 2.07 5.79 0.00 76.07
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼 14 4.21 5.65 0.00 63.29
解説:
現在、白内障手術はほとんど外来手術となっています。そのほかの手術も外来化が進んでいます。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術処置2-4あり 33 15.85 16.95 18.18 61.70
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術処置2なし 定義副傷病名なし 31 8.84 7.48 16.13 65.68
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 手術処置2なし 15歳以上 27 19.15 17.00 22.22 48.81
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術処置1なし 手術処置2-4あり 定義副傷病名なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 23 12.87 15.64 43.48 66.83
010200xx99x00x 水頭症 手術なし 手術処置2なし 定義副傷病名なし 14 8.00 7.06 0.00 75.86
解説:
脳梗塞、てんかん、髄膜炎・脳炎などの急性疾患から、免疫性ニューロパチーなどの慢性疾患まで幅広く診療しています。正常圧水頭症の検査入院も積極的に行い、治る認知症の発見に努めています。これら以外にも、パーキンソン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症などの患者を数多く診療しています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
050163xx9900xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術処置1なし 手術処置2なし 87 4.83 8.44 2.30 73.80
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術処置2なし 65 10.46 11.56 7.69 77.31
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術処置2-1あり 58 42.24 28.61 15.52 70.45
050163xx9910xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術処置1-1あり 手術処置2なし 35 3.97 4.44 0.00 71.69
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術処置1なし 手術処置2-1あり 34 29.18 22.56 5.88 58.56
解説:
心臓血管外科の手術の対象は先天性心疾患、虚血性心疾患、弁膜症、大動脈瘤および末梢血管疾患と循環器疾患全般に渡っています。令和2年度における1年間の全手術は764件、心臓・大動脈手術は522件でした。このうち胸部大動脈瘤手術68例、胸腹部大動脈瘤手術25例、腹部大動脈瘤手術37例、ステントグラフト内挿術胸部46例・腹部58例と大動脈瘤の症例が多いことが特徴です。また、カテーテルによる経皮的大動脈弁移植術(TAVI)の開始にともない、大動脈弁疾患の紹介数が増加してきています。弁膜症手術(冠動脈バイパス手術併施例を含む)は77例となっています。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 70 3.06 2.79 0.00 4.13
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 48 3.21 3.02 0.00 2.42
060170xx02xxxx 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 23 3.04 8.17 0.00 2.30
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 11 5.00 5.44 0.00 10.82
060130xx9900xx 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 手術なし 手術処置1なし 手術処置2なし 7.71
解説:
当科は、常勤医3名が在籍し、日本外科学会指導医2名、日本小児外科学会指導医1名、日本小児外科学会専門医3名、日本小児泌尿器科学会認定医1名、日本周産期新生児学会認定外科医1名、日本移植学会移殖認定医1名、医学博士2名を有しています。診療圏は広島市という枠を越えて、山口県東部(岩国市、大竹市)、広島県東部(東広島市、尾道市、福山市)、県北部(三次市、庄原市)、島根県(邑智郡、浜田市)からも患者さんを御紹介いただいています。当科は平成元年に創設されましたが、当時と比べて小児外科の診療、手術、術後管理も大きく変化しました。
当科の特徴
整容性に配慮した手術:かつては開胸手術・開腹手術ともに大きな創痕が残っていましたが、近年生存率のみではなく、よりQOL(生活の質)に配慮した治療方針が望まれるようになり、整容性に配慮した術式を取り入れています。先天性食道閉鎖症術後、肺葉切除術後、十二指腸閉鎖症術後、長節型ヒルシュスプルング病術後、萎縮腎摘出術後、いずれも創は目立たず、成長後体育での着替えや、プール授業でも、従来に比して患児があまり気にすることはないと考えられます。
新生児外科:新生児外科症例は年間約20~30例を占めますが、低出生体重児や先天性心疾患などの合併奇形の多いこの分野では、新生児科、循環器小児科との緊密な連携のもとに診療を行っています。胎児診断された症例については、母胎搬送で産科に入院していただき、出生前から万全の管理で最善の治療を行うようにしています。
小児泌尿器:こども病院がない中国地方では、小児泌尿器疾患(腎臓、膀胱、尿管、精巣、陰部等)については、小児科、産婦人科、泌尿器科から小児外科に紹介いただいています。日本小児泌尿器科学会認定医を中心に、VUR(膀胱尿管逆流症)根治術、腎盂形成術、尿道形成術を含めてガイドラインに沿った安全な診療を心掛けています。
呼吸器内科(腫瘍内科を含む)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術処置1なし 手術処置2-4あり 定義副傷病名なし 183 7.80 9.42 0.00 67.13
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術処置2なし 65 5.02 20.51 87.69 82.28
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術処置1なし 手術処置2-5あり 63 19.10 19.51 7.94 72.03
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術処置1なし 手術処置2なし 57 11.91 13.30 40.35 72.18
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術処置2なし 56 22.48 18.61 14.29 72.20
解説:
肺癌、悪性胸膜中皮腫、胸腺癌など胸部悪性腫瘍の症例数が非常に多く、増加傾向です。術前、術後、切除不能進行あるいは再発症例に対し化学療法、化学放射線治療を積極的に実施しています。また多くの臨床試験、治験にも積極的に参加し、新規治療法の開発に取り組んでいます。次に肺炎の症例数が多くなっていますが、転院率が非常に高く在院日数が短いことが当院の特徴です。肺炎の入院は救急外来経由が非常に多く、初期治療を当院で実施し、病状の安定が得られれば、連携病院に転院し継続加療を実施している症例が多くあります。また間質性肺炎急性増悪症例も増加傾向であり、ステロイドパルス療法やNHF(鼻カニューレによる高流量酸素療法)、NIPPV(非侵襲的陽圧換気療法)による呼吸療法を実施しています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術処置1-1あり 手術処置2なし 375 2.20 3.07 0.53 70.49
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術処置2なし 321 3.56 4.95 0.00 66.22
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術処置1なし、1,2あり 手術処置2なし 284 3.83 4.44 1.76 71.26
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術処置1なし 手術処置2なし 260 16.55 17.23 18.08 79.62
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術処置1なし、1,3あり 手術処置2なし 定義副傷病名なし 133 8.18 10.56 3.01 78.92
解説:
循環器内科は、狭心症、心筋梗塞といった虚血性心疾患への救急医療、心房細動などの不整脈治療、弁膜症などへの構造的心疾患の治療が3本柱となっています。とくに、虚血性心疾患へのカテーテルインターベンションと不整脈へのアブレーション治療の歴史は古く、県内でも有数の症例数の多い施設です。また虚血性心疾患については、24時間体勢で救急へ対応しています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術処置2なし 定義副傷病名なし 239 10.57 10.83 0.84 68.60
040200xx99x00x 気胸 手術なし 手術処置2なし 定義副傷病名なし 20 6.55 9.18 5.00 45.10
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術処置2なし 定義副傷病名なし 19 8.21 10.08 0.00 36.21
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 縦隔悪性腫瘍手術等 手術処置2なし 15 8.33 9.98 0.00 64.33
040030xx01xxxx 呼吸器系の良性腫瘍 肺切除術 気管支形成を伴う肺切除等 13 8.54 9.10 0.00 69.08
解説:
呼吸器外科の手術症例の多くは肺悪性腫瘍 61%(原発性肺癌、転移性肺腫瘍)ですが、縦隔腫瘍(胸腺腫など)や気胸など良性疾患もすべて呼吸器合同カンファレンス(呼吸器内科、腫瘍内科、放射線治療科、呼吸器外科)で協議されいます。特に進行肺がんでは術前化学放射線治療など集学的治療が検討され、内科からは手術適応についての症例提示があります。ガイドラインに当てはまらず、治療方針に苦慮する症例も、その場の協議で方針が決まります。高齢者や全身状態不良な患者さんでは、放射線治療単独になったり、BSC(症状などを和らげる治療)になる場合もあります。気胸に関しては、原発性気胸は呼吸器外科が、高齢者に多い続発性気胸は呼吸器内科が担当することが多く、初発例や気瘻がないものは保存的に、再発例や気瘻が持続するものは緊急手術になります。特に肺線維症を合併した続発性の難治性気胸では、PCPS(経皮的心肺補助装置)が必要となり、心臓血管外科、循環器科、麻酔科など多科合同カンファレンスを開き治療に当たることもあります。ほとんどの症例が胸腔鏡下(93.7%)で行なわれ、開胸になったり輸血が必要な症例は年間でも数例となっています。
リウマチ・膠原病科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用
パス
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術処置2なし 定義副傷病名なし 12 37.92 15.28 8.33 58.17
070560xx97xxxx 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術あり 37.12
010111xxxxx0xx 遺伝性ニューロパチー 手術処置2なし 12.47
070510xx99xxxx 痛風、関節の障害(その他) 手術なし 11.97
070560xx99x01x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術処置2なし 定義副傷病名あり 25.09
解説:
全身性エリテマトーデスによる重大な合併症(ループス腎炎、中枢神経ループス、血球貪食症候群など)、ANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)、大型血管炎(巨細胞性動脈炎、高安動脈炎)などに対して免疫抑制療法を行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 191 23 30 55 14 48 1 8
大腸癌 32 57 45 60 83 68 1 8
乳癌 200 168 49 17 51 1 7,8
肺癌 170 51 121 249 25 216 1 7,8
肝癌 19 29 17 146 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
解説:
病期(stage)は国際対がん連合(UICC)によって定められた国際的な悪性腫瘍の病期分類であるUICC病期分類を用いています。当院での5大癌の初発例の病期をみると、胃癌ではStageⅠの割合が非常に高く、早期に発見・診断され治療が行われています。大腸癌では令和2年度は前年度に比べStageⅣの割合が高く、進行した状態で初診となっています。乳癌ではStageⅠおよびⅡの割合が高く、早期に診断され治療されていることが示されています。肺癌では早期発見によるStageⅠ症例が多い一方で、進行した状態で診断をされるStageⅢ、Ⅳ症例の割合も高く、また再発症例の治療も多くなっています。肝癌は肝炎ウイルスの治療などにより初発患者が年々減少している一方で、再発例に対する治療が多く行われていることが特徴となっています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 17 7.65 52.71
中等症 90 10.63 76.34
重症 27 10.22 82.63
超重症
不明
解説:
市中肺炎患者は高齢になるほど重症度が高く、重症以上では特に80歳以上の高齢者が多い傾向が見られます。高度呼吸不全例に対してはIPPV(侵襲的陽圧換気療法)、NIPPV(非侵襲的陽圧換気療法)、ネーザルハイフロー(鼻カニューレによる高流量酸素療法)などを用いた呼吸管理を実施しています。令和2年度は、COVID-19の拡大により感染予防策がとられたため減少したものと思われます。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 248 19.82 74.79 42.96
その他 43 15.16 73.02 4.81
解説:
入院中に医療資源を最も投入した傷病名のICD(International Classification of Diseases and Related Health Problems)-10コードの上位3桁で集計し、脳梗塞に関連する病名を集計しています。頚動脈狭窄症などは脳梗塞を予防する目的での治療も行われています。
当院の特徴としては、発症3日以内ということは発症直後の急性期脳梗塞の患者の割合が高い事を意味します(およそ8割)。当院では、救命救急センターを中心に、こうした急性期の脳卒中患者を積極的に受け入れ治療していますが、専門である脳神経外科、脳神経内科の医師が24時間、365日常駐することで迅速な対応が可能となっています。検査もCT、MRIといった診断機器はもちろん、血管内治療が可能な脳血管撮影装置も常に使用可能な体制を取っています。超急性期症例には、発症後4.5時間以内で実施可能なt-PA(組織プラスミノーゲンアクティベータ-)の静脈内投与による血栓溶解療法は勿論、さらに血管内にカテーテルを挿入し、詰まった血管の血栓を除去/回収する血管内治療(血栓回収療法)も血管内治療専門医を中心に実施しており、毎年50名近くの患者がこの治療を受け、良好な結果を得られています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科(血液内科を含む)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 416 0.10 1.12 0.24 67.45
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 149 1.73 10.56 7.38 75.15
K6871 内視鏡的乳頭切開術 乳頭括約筋切開のみのもの 143 1.41 11.02 6.99 69.64
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 など 138 1.29 5.14 0.00 71.23
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) 選択的動脈化学塞栓術 90 1.90 9.10 0.00 76.89
解説:
大腸ポリープに対するEMR(内視鏡的粘膜切除術)、大腸病変に対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、胃癌に対するESDを積極的に行っており、質・安全性の高い手技を展開しています。胆・膵領域では、閉塞性黄疸や急性胆管炎の緊急入院患者および膵癌・胆道癌患者が増加しており、結石除去術や胆道ドレナージ術、内視鏡的胆道ステント留置術を多く行っています。肝細胞癌に対するTACE(肝動脈化学塞栓術)は、内科担当医自らが行うことで、肝予備能(肝臓の機能がどの程度保たれているかを示すもの)を十分考慮し長期的なQOL(生活の質)を重視した治療を実践しています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 148 1.03 4.76 0.68 61.62
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 76 3.28 10.89 3.95 71.47
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 68 0.10 4.29 0.00 38.44
K655-22 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術 48 2.15 14.50 2.08 65.40
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴うもの 38 0.03 6.21 0.00 44.55
解説:
胃癌、大腸癌、食道癌、肝胆膵癌などの悪性疾患を中心に多数の手術を行っています。10名の内視鏡外科学会技術認定取得医、 3名の肝胆膵外科学会高度技能指導医/専門医、1名の食道外科専門医を有しており、胃癌、大腸癌、食道癌、肝癌、膵癌の内視鏡下手術、あるいは高難度の食道手術、肝胆膵手術を行っています。また、胆石胆のう炎、虫垂炎、ヘルニア疾患に対する腹腔鏡手術も可能な限り対応しています。
乳腺外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 192 0.56 2.60 0.00 59.51
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 130 1.22 5.99 0.00 62.30
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 50 1.14 6.08 0.00 59.68
K4764 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。)) 49 0.90 3.73 0.00 56.94
K4741 乳腺腫瘍摘出術 長径5センチメートル未満 48 0.02 1.06 0.00 52.08
解説:
乳腺外科では2名の乳腺専門医・指導医を中心として、5名の乳腺外科医がチーム一丸となって原発性乳癌556件を手術しています。また、形成外科とも積極的に連携し、根治性と整容性の両立を心がけています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 259 1.99 18.34 6.18 75.10
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 91 2.30 11.97 7.69 72.45
K068-2 関節鏡下半月板切除術 54 1.37 3.89 0.00 48.70
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 36 2.64 12.08 44.44 74.50
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成手術 十字靱帯 27 1.48 16.56 0.00 22.22
解説:
外傷などの急性期疾患から慢性疾患まであらゆる疾患に対して基本に忠実に治療を施しています。保存療法と手術療法のメリットとデメリットを比較して治療を提供しています。近年では、人工関節(膝、股、肩)症例が増加しております。また、若年者に見られるスポーツ障害の一つとして半月板損傷や靱帯損傷(十字靭帯)に対する治療も積極的に行っています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 42 0.52 2.67 0.00 73.29
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 31 1.77 12.26 0.00 51.52
K476-4 ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後) 25 1.12 7.04 0.00 50.96
K4263 口唇裂形成手術(片側) 鼻腔底形成を伴う場合 24 2.00 7.46 0.00 1.75
K4073イ 顎・口蓋裂形成手術 顎裂を伴うもの 片側 20 1.30 12.10 0.00 6.00
解説:
乳房再建を行う乳癌患者は、乳腺外科と協同して治療に当たっています。眼瞼下垂患者は、入院患者のほぼ全員が当日入院で手術を行っていますが、外来手術も多く手がけています。唇裂口蓋裂は手術が細分化されているため件数上位にランクしていませんが、最近では全体で100件以上の手術を毎年行っています。また内反症手術、眼瞼部や皮膚の悪性腫瘍の再建も多く行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K1781 脳血管内手術 1箇所 56 1.39 15.59 19.64 63.13
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 46 0.63 10.09 13.04 76.78
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの 40 6.58 22.15 17.50 57.63
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 33 3.00 9.64 15.15 76.15
K178-4 経皮的脳血栓回収術 24 1.46 20.75 66.67 77.83
解説:
くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の破裂前(未破裂)での積極的な治療も行っています。現在は動脈瘤コイル塞栓術を希望される患者の増加もあり、脳血管内手術が件数的にも増加しています。破裂、未破裂の両方を含む為、術後日数は12日と長めの数字となっています。また、脳神経外科施設で多く治療している慢性硬膜下血腫は、医療圏域内の他施設(脳神経外科の有無を問わず)からも多くご紹介いただくため、慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術も件数の多い手術の一つであり、局所麻酔での手術でもある為、ほぼ入院当日あるいは翌日に手術しています。さらに最近の傾向として同じく医療圏域内を中心に、良性、悪性脳腫瘍の患者の紹介も増加しており、その治療の一つとしての頭蓋内腫瘍摘出術その他のものも増加傾向にあります。脳腫瘍に対しては、他にも定位的脳腫瘍生検術や内視鏡下摘出術なども症例毎に検討し実施しており、悪性脳腫瘍の場合は、放射線化学療法などの後療法も併せて行うため、術後日数が20日を越えています。脳梗塞の急性期治療や慢性期のステント留置術も安全かつ積極的に行っています。
小児科(神経小児科、循環器小児科を含む)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K9131 新生児仮死蘇生術 仮死第1度のもの 66 0.00 26.35 4.55 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの 56 0.00 81.48 7.14 0.00
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 38 1.32 3.92 0.00 25.63
K5621 動脈管開存症手術 経皮的動脈管開存閉鎖術 14 1.14 2.00 0.00 6.21
K570-2 経皮的肺動脈弁拡張術 12 1.25 2.92 0.00 0.67
解説:
循環器小児科は、年間100件前後のカテーテル治療を行っており、うち1歳未満は約1/4です。カテーテル治療のうち約40件は心房中隔欠損のデバイス閉鎖術で、成人例が4割となっています。動脈管のカテーテル治療も含め、認定施設・認定医によらなければならない最先端のカテーテル治療まで行っています。
小児科・神経小児科は、「小児の総合医」たる小児科専門医としてのみならず、各疾患領域の専門家がよりハイレベルな医療サービスを提供し、新生児科から小児科への移行、小児科から成人各科への移行を円滑に進めるべく、成育医療を実践しています。
新生児科は、令和2年度の総合周産期母子医療センター(新生児科)の総入院数は393件で、出生体重1,500g未満の極低出生体重児が30件、1,000g未満の超低出生体重児が14件、人工呼吸管理実施児は102件でした。重症新生児仮死に対する低体温療法や重症呼吸障害に対する高度の呼吸管理(HFO(高頻度振動換気)やNO(一酸化窒素)吸入療法)も積極的に行っています。県の総合周産期母子医療センターとして、原則としてすべての新生児の問題に対応しています。
産科・婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 200 1.56 4.15 0.00 48.14
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 191 7.43 5.95 0.00 33.76
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 189 1.29 4.01 0.00 42.75
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 177 5.04 5.57 0.00 34.62
K867 子宮頸部(腟部)切除術 118 0.99 1.01 0.00 41.10
解説:
婦人科は良性疾患、悪性疾患ともに幅広く診療を行っています。腹腔鏡下手術の件数が年々増加しており、子宮筋腫、卵巣腫瘍の大部分は腹腔鏡下手術で行っています。初期の子宮体癌についても腹腔鏡下手術あるいはロボット支援下手術を行っています。
産科は総合周産期母子医療センターとして、ハイリスク症例を中心に診療を行っています。緊急帝王切開に迅速に対応できるよう手術室、麻酔科、新生児科とスムーズな連携を心がけています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 16 1.00 6.19 0.00 78.44
K0064 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径12センチメートル以上
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径6センチメートル以上12センチメートル未満
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径4センチメートル以上
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル未満
解説:
前年度と比較して皮膚悪性腫瘍、皮膚良性腫瘍の切除術件数が増加するとともに平均術後日数が大幅に短縮しており、今後も速やかな治療と良好な術後経過の推進が見込まれます。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 215 1.93 3.50 0.00 73.15
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 123 2.50 9.76 0.00 70.36
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 49 2.04 8.55 0.00 69.04
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 28 0.68 6.54 7.14 69.39
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 27 1.63 3.52 0.00 64.44
解説:
筋層非浸潤性膀胱癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術は、毎年200件以上行っていますが、そのほとんどにおいてTURis システム(生理食塩水を使用する経尿道的切除)を使用しています。筋層浸潤性膀胱癌に対しては、術前抗癌剤治療を2コース行った後、ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術を施行しています。前立腺癌は、毎年100件前後の症例においてロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘出術が行われています。小径腎癌では、腎機能温存を目的として、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除が選択され、部分切除が困難な症例には腹腔鏡下根治的腎摘除術が行われています。また上部尿路結石に対し、ホルミウムレーザーを用いた結石破砕術を行っています。
耳鼻咽喉科(頭頸部外科を含む)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 65 1.00 5.62 0.00 18.86
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 52 1.00 2.98 0.00 55.40
K3932 喉頭腫瘍摘出術 直達鏡によるもの 49 1.14 1.08 0.00 64.90
K3191 鼓室形成手術 耳小骨温存術 48 1.40 5.33 0.00 42.94
K4571 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 33 1.06 4.15 0.00 55.39
解説:
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・指導医資格を持った経験豊富な医師が5名在籍しており、高度な医療を心がけています。嚥下や音声のリハビリ、聴力検査等に従事する言語聴覚士も5名在籍し、ニーズに合わせたリハビリを行っています。中耳炎や難聴に対する手術は有数の実績があります。また人工内耳ときこえのセンターを開設し、高度難聴に対する人工内耳手術を多く手がけています。1歳児から80歳代まで積極的に治療を行い、聞こえを取り戻していただいています。副鼻腔炎(蓄膿症)には、低侵襲手術である内視鏡下鼻・副鼻腔手術を行っています。解剖学的に複雑な部位ですが、術中ナビゲーションシステムをほぼ全症例に導入することで安全な治療が可能です。甲状腺腫瘍は頸部の傷跡が殆ど目立たずに腫瘍を摘出できる内視鏡手術を積極的に取り入れています。喉頭癌、舌癌を始めとした頭頸部がんについては、機能温存を目指した放射線治療や、形成外科と協同した機能・整容面に配慮した手術を行っています。当院は認定基準の厳しい、日本頭頸部外科学会研修指定病院に認定されています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 284 0.12 1.00 0.00 75.08
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 63 0.13 5.63 0.00 60.98
K2682 緑内障手術 流出路再建術 14 0.00 1.07 0.00 76.07
K2683 緑内障手術 濾過手術 12 0.17 6.50 0.00 65.75
K275 網膜復位術
解説:
視力低下が懸念される網膜剥離では、状況の許す限り早めに手術を行っています。
脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。) 19 12.26 14.58 31.58 73.74
K178-4 経皮的脳血栓回収術 16 0.13 25.69 56.25 72.94
K597-3 植込型心電図記録計移植術
K386 気管切開術
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術
解説:
当科には脳血管内治療専門医が在籍しており、脳梗塞では、脳神経外科と協力して血管内治療による脳血栓回収術、頚動脈狭窄には頚動脈ステント留置術も適応に応じて行っています。また、脳梗塞の二次予防目的で、埋込型心電図計移植術も行い、心房細動が見つかった場合は循環器内科に紹介しています。神経難病などでは、病気の進行とともに、呼吸・栄養管理のために胃瘻造設、気管切開、中心静脈注射用植込型カテーテルが必要になることがあります。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K5612ロ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 44 2.73 7.09 9.09 76.59
K5603ニ 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術 その他のもの 37 3.68 40.32 21.62 70.08
K5551 弁置換術 1弁のもの 33 5.06 27.33 21.21 64.27
K5606 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの) 29 3.31 15.14 6.90 68.41
K5612イ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 胸部大動脈 27 7.74 21.56 11.11 73.22
解説:
最も多い症例は、大動脈瘤に対するステントグラフト治療です。胸部や腹部の大動脈瘤は、動脈硬化性のものがほとんどです。一定以上に大きくなった大動脈瘤は、やがてある日突然破裂してしまいます。破裂すると大量出血をきたし大多数が死に至ります。ステントグラフト治療とは、ステントグラフトという骨格つきの人工血管をカテーテルに収納し、太ももの付け根の血管などから挿入し、動脈瘤を内側から蓋をする治療で、従来の手術のように、胸や腹をあける必要がない低侵襲治療で入院期間も短くなります。ただ、すべての患者に施行可能ではないため、適応外の患者には従来の人工血管を用いて血管を取り替える手術を行っています。K5603ニを含む、胸部・胸腹部・腹部大動脈瘤の手術例(K560-1~5)は合計で93例となっています。弁膜症については、平成27年に開始した経皮的大動脈弁移植術(TAVI)は、累計症例数が300例を超えました。また昨年度からは、低侵襲心臓手術(MICS)にも積極的に取り組んでいます。症例内容の詳細については、心臓血管外科、心臓・大血管低侵襲治療部ホームページをご参照下さい。
小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K836 停留精巣固定術 46 1.00 1.20 0.00 2.43
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 41 1.07 1.00 0.00 3.88
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 31 1.00 1.03 0.00 4.35
K6333 ヘルニア手術 臍ヘルニア 22 1.00 1.05 0.00 2.18
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 10 0.40 3.70 0.00 10.50
解説:
年間約300~330例の手術症例のうち約20%は1歳未満であり、麻酔科と協力し乳児にも安全に手術を行っています。かつては開胸手術・開腹手術ともに大きな創痕が残っていましたが、近年生存率のみではなく、よりQOL(生活の質)に配慮した治療方針が望まれるようになり、整容性に配慮した術式を取り入れています。腹腔鏡・胸腔鏡を併用して腋窩皺、臍部等からアプローチし、先天性食道閉鎖症術後、肺葉切除術後、十二指腸閉鎖症術後、長節型ヒルシュスプルング病術後、萎縮腎摘出術後、いずれも創は目立たず、成長後体育での着替えや、プール授業でも、従来に比して患児があまり気にすることはないようにと心がけています。先天性胆道拡張症に対しても腹腔鏡下手術を導入しました。新生児外科症例は年間約20例を占めますが、低出生体重児や先天性心疾患などの合併奇形の多いこの分野では、新生児科、循環器小児科との緊密な連携のもとに診療を行っています。胎児診断された症例については、母胎搬送で産科に入院していただき、出生前からの万全の管理で最善の治療を行うようにしています。こども病院がない中国地方では、小児泌尿器疾患(腎臓、膀胱、尿管、精巣、陰部等)については、小児科、産婦人科、泌尿器科の先生方から小児外科に御紹介いただいています。日本小児泌尿器科学会認定医を中心に、VUR(膀胱尿管逆流症)根治術、腎盂形成術、尿道形成術を含めてガイドラインに沿った安全な診療を心掛けています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 254 1.26 1.31 0.00 68.24
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 164 1.44 2.19 1.22 71.46
K5461 経皮的冠動脈形成術 急性心筋梗塞に対するもの 106 0.00 9.52 5.66 66.75
K555-22 経カテーテル大動脈弁置換術 経皮的大動脈弁置換術 83 11.60 14.75 6.02 83.71
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術 その他のもの 69 1.20 2.67 1.45 58.80
解説:
循環器内科は、狭心症、心筋梗塞といった虚血性心疾患への救急医療、心房細動などの不整脈治療、弁膜症などへの構造的心疾患への治療が3本柱となっています。とくに、虚血性心疾患へのカテーテルインターベンションと不整脈へのアブレーション治療の歴史は古く、県内でも有数の症例数の多い施設です。また、5年前より、大動脈弁のカテーテル治療(TAVI)も開始し、県内で最大の症例数を施行しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用
パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 106 1.54 9.32 0.94 69.18
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 71 1.59 8.97 1.41 67.68
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 61 1.66 6.61 0.00 67.70
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 23 3.39 4.04 0.00 38.26
K504-2 胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術 15 1.53 5.8 0.00 64.33
解説:
現在も肺がんの標準術式は、肺葉切除+リンパ節郭清ですが、小型で転移のない早期肺がんに対しては、CT画像、PET-CTなどの情報を参考に積極的に、肺機能を温存する縮小手術(区域切除、部分切除)を行っています。その割合は徐々に増加傾向にあり、肺がんの平均在院日数は約10日となっています。また、転移性肺腫瘍では部分切除が基本で、これら肺悪性腫瘍や縦隔悪性腫瘍(胸腺腫など)も胸腔鏡下で行っており、良性疾患の気胸を含め呼吸器外科手術の96.1%(令和2年)は胸腔鏡下で手術が行われています。このため80歳以上の高齢者でも安全に手術が行えるようになっています。また、自然気胸では再発を繰り返す、空気が漏れる、出血を伴う場合は緊急手術になりますが、99%が胸腔鏡下手術のため、術後3.5日での早期退院が可能となっています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 32 0.18
異なる 38 0.21
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 75 0.42
異なる
解説:
播種性血管内凝固症候群、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症の発生率は、すべての項目において、厚生労働省による平成31年度のDPC対象病院全国平均以下となっています。
更新履歴
2021年9月28日